言語発達のマイルストーン【アメリカ版】

ネイティブ年齢相応レベルの英語力を目指しているかどうかに関わらず、英語話者の子どもたちの言語発達を知ることは、子どもの英語力を測るひとつの目安になりますよね。次はこんな発達が起きるのかなと予測を立てたり、教材を探す時に、年齢相応のものがいいのか、学年を落としたものにした方がレベルが合うのかなどの参考にもなりそうです。

アメリカの言語発達に関するマイルストーンのリストをいくつか見たところ、具体的な発語の例が多く載っていて参考になったので、それらを簡単に和訳したものを引用させていただきます!

1歳半〜5歳まで、年齢ごとにご紹介していきます。

目次

引用元の言語発達のマイルストーンリスト(英語)

ちょっと硬いのですが、引用元の紹介からさせてください。どちらもアメリカの機関から、アメリカで育つお子さん向けに書かれたものです。

Age-Appropriate Speech and Language Milestones | Children’s Hospital of Philadelphia

Age-Appropriate Speech and Language Milestones | Stanford Medicine Children’s Health

ベースにしたのは、アメリカのこども病院2つで紹介されている年齢相応の言語発達マイルストーン。CDCまたはAAPと特記なしのものは、こちらのリストです。

出典はNational Institute on Deafness and Other Communication Disorders (NIDCD / 国立聴覚・伝達障害研究所) のリストとあるのですが、元ソースの載っているページは見つけられず。

CDC’s Developmental Milestones

アメリカのCDC (Centers for Disease Control and Prevention / 疾病対策予防センター) の出している、発達のマイルストーンのチェックリストも参考にしています。その年齢の子どもが項目を達成できる割合が最低75%のところにマイルストーンを置いているそう。こちらの記事で(3歳/CDC)と添えているもの3歳で75%超えの達成率の項目だと読んでください。

発達を促すアイデアはCDCのものを使っています。特に言語に関する部分のみ抜粋したのですが、アイデアの宝庫なので、言語に限らず読みたいという方はDevelopmental milestone checklistsをまるっとどうぞー!

但し書きとして、このチェックリストは、家族とプロフェッショナルの間の会話を促すコミュニケーションツールであり、発達の懸念がある場合に追加のスクリーニングの必要性を特定するのを助ける役割もあるが、発達のガイドラインや基準ではなく、発達の遅れを診断するためのツールではない、だそうです。

Developmental Milestones: 3 to 4 Year Olds – American Academy of Pediatrics
Developmental Milestones: 4 to 5 Year Olds – American Academy of Pediatrics

AAP (American Academy of Pediatrics / 米国小児科学会)の出している発達のマイルストーンも。

では、まずは1歳半から!

1歳6ヶ月〜1歳11ヶ月

1歳半〜1歳11ヶ月
言語発達のマイルストーン
  • Action wordsの意味を理解している (例: clap, sit, jump)
  • 問われた体のパーツを指すことができる
  • 簡単なyes-no questionを理解し、答える (例: Are you hungry?)
  • not now” と “no more” を理解している
  • 名前を挙げて食べ物を要求する
  • 動物の鳴きまねをする (例: moo)
  • 2-3語のフレーズを作って話したり頼み事をしたりする (例: more milk)
  • 代名詞を使い始める (例: mine)
  • 50語ほどのボキャブラリーを使う。発音はしばしば不明瞭
    ※CDCによると50語は2歳半での達成率75%
2歳:発達を促すアイデア
  • 子どもがはっきり発音できなくても、言葉の響きの学びを助ける
    (例: 子どもが “or nana” と言ったら “You want more banana.”)

2〜3歳

2〜3歳:言語発達のマイルストーン
  • 2歳までに最低100語を使う
  • 空間にまつわる概念を知っている (例: in, on)
  • より多くの代名詞を理解し、使う (例: you, me, her)
  • Descriptive wordsを知っている (例: big, happy)
  • 多くの簡単な質問に答える
  • 2段階の指示に従う (例: Get your shoes and come here.)
  • 3-4語の文を使う
    ※動詞を含む2語以上の言葉を話す (例:Doggie run) (2歳半/CDC)
  • 複数形(例: shoes, socks)&規則動詞の過去形(例: jumped)を使い始める
  • 発音は良くなっていくが、語尾の音を抜かしてしまうこともある
  • 見知らぬ人は、発話の大半をあまり理解できないかもしれない
  • 何かを頼みたい時、question inflectionを使う (例: My ball?)
  • Who/what/where/whyを使った質問をする (例: Where is mommy?) (3歳/CDC)
  • 2往復以上のラリーのある会話をする (3歳/CDC)
2歳半:発達を促すアイデア
  • ポジティブな言葉を使い、もっとしてほしい行動 (wanted behaviors) に注意を向ける
    (例: “I like how you gave Jordan the toy.”)
  • 本や物語について、Who, What, Whereなどを使って簡単な質問をする
  • 言葉を使って物の説明をする
    (例: big/small, fast/slow, on/off, in/out)
3歳:発達を促すアイデア
  • 子どもが自分で問題を解決できるようにサポートする。問題の理解の助けになるような質問をする。解決策を考え、試し、必要があればもっと試すのを助ける
  • 子どもの感情について話をし、子ども自身が感じていることを説明できるような言葉を与える
  • 子どもと一緒に読む。“What is happening in the picture?” や “What do you think will happen next?” といった質問をする。答えが返ってきたら、詳細について聞く
  • Counting gamesをする。体の部位、階段や、身の回りにある物を数える
  • 子どもが話すより長い文で話しかけることによって、子どもの言語発達を促す。子どもが言うことを繰り返し (例: need nana)、大人の言葉での言い方を示す (例: I want a banana.)
  • 2-3個のステップのある指示を出す
    (例: Go to your room and get your shoes and coat.)

3〜4歳

3〜4歳:言語発達のマイルストーン
  • 見知らぬ人が聞いても、発話の大半を理解することができる (3歳/CDC)
  • 動詞のing形を使って絵や本の中のアクションについて話す (例: running, eating, playing) (3歳/CDC)
  • 3歳までに300〜500語使う
  • 簡単な質問に答える (例: What do you do when you are hungry?)
  • 物をカテゴリー分けできる (例: foods, clothes)
  • 言語を楽しむ。詩を楽しみ、ばかばかしさを認識できる (例: Is that an elephant on your head?)
  • 身の回りの話だけではなく、アイデアや気持ちを表現する
  • 大半の言語音を使うが、より難しい音・後に発達する音についてはきれいに発音できないかもしれない (例:l, r, s, sh, ch, v, z, th) 完全な習得は7〜8歳までかかる場合も
  • 語頭・語中・語尾子音を使う。うまく発音ができない子音も言おうとする
  • 物の使い道についての簡単な質問 (例: What is a coat for? or What is a crayon for?) に答える (4歳/CDC)
4歳:発達を促すアイデア
  • 子どもと一緒に読む。ストーリーの中で何が起こっているか次に何が起こるかもしれないと思うか聞く (Ask him/her what’s happening in the story and what he/she thinks might happen next)
  • 大きさについての学びを助ける。例えば、日中に目にするものについて、色や形、大きさを聞く。
  • 他の人の気持ちと、それに対して前向きな反応をすることについての学びを助ける (例: 悲しそうにしている子を見たら、“He looks sad. Let’s bring him a teddy.”)
  • ポジティブな言葉を使い、もっとしてほしい行動 (wanted behaviors) に注意を向ける (例: “You’re sharing that toy so nicely!”) 望ましくない行動については注意を向けないようにする。
  • 簡単な言葉で、やってほしくない行動 (unwanted behavior) について説明し、代わりにやってもいいことの選択肢を与える。(例: “You can’t jump on the bed. Do you want to go outside and play or put on some music and dance?”)
  • 子どもの “why” questionsについて時間をとって答える。答えがわからなければ、“I don’t know” と言ったり、本、インターネット、あるいは他の大人から答えを探すのを手伝う。

4〜5歳

4〜5歳:言語発達のマイルストーン
  • 4語以上の文を話す (4歳/CDC)
  • Whyを使った質問に答える
  • カテゴリーに属するものを挙げる (例: animals or vehicles)
  • より抽象的な空間概念を理解する (例: behind, next to)
  • 複雑な質問を理解する
  • 不規則動詞の過去形を使う (例: ran, fell)
  • どうやって物事を行うのか説明する (例: painting a picture)
  • 発音は理解できるものだが、長かったり、難しい、あるいは複雑な言葉では間違う (例: hippopotamus)
  • 未来形を使う (AAP)
5歳:発達を促すアイデア
  • 子どもは自立を感じ、何が起こるかを試すために「言い返す」ことを始めるかもしれない。ネガティブな言葉への反応を減らす。子ども自身がリードし、自立できる、代わりのアクティビティを探す。良い行動について言及する。(例: “You stayed calm when I told you it’s bedtime.”)
  • 何をして遊んでいるのか質問する。“Why?” や “How?” の質問で、答えを広げる。(例: “That’s a nice bridge you’re building. Why did you put it there?”)
  • 時間についての理解を促す言葉を使う。例えば、曜日についての歌を歌ったり、今日が何日なのか知らせたり。時間に関連する言葉を使う (例: today, tomorrow, yesterday)
  • 子どもや親自身の感情について話をしたり名前をつけたりする。本を読んで、登場人物の感情について話し、なぜそんな気持ちなのかも話す。
  • Rhyming gamesをする。(例: “What rhymes with cat?”)
  • 絵を見てストーリーを語ることを通じて子どもが「読む」ことを促す。

5歳

5歳:言語発達のマイルストーン
  • 時系列を理解する (例: what happened first, second, or third)
  • 連続した指示を3つ実行する
    ※AAPのチェックリストでは、これは3-4歳のマイルストーンに分類されている
  • 8語以上の文をつくる
  • 複合していて (compound)、複雑な文を使う (注: compound sentenceは2つ以上の節がand, butなどの等位接続詞で結ばれている文)
  • 対象物について詳しく説明する
  • 2つ以上のできごとの起こる物語について話をする(聞いたものでも、創作したものでも)(例: A cat was stuck in a tree and a firefighter saved it) (5歳/CDC)
  • 3往復以上のラリーのある会話をする (5歳/CDC)
  • 簡単なライミングを使う、あるいは認識する (例: bat-cat, ball-tall) (5歳/CDC)

まとめ

3歳向けのアイデアのところに、「子どもが話すより長い文で話しかけることによって、子どもの言語発達を促す」とあり、私は息子が確実にわかることばかりで話しかけがちだなとはっとしました。ちょうど良いレベル感を探ってみようと思います。

また、息子のthやvの発音が少し気になっていたのですが、3〜4歳のリストで、より発音が難しい音・あとから発達していく音としてl, r, s, sh, ch, v, z, thが挙げられており、少しほっとしました。

一方で、教育熱心なご家庭のお子さんだと目安の年齢の先を進んでいて、3歳でも英語で複雑な会話をしている、ということもあるかもしれませんね。

どちらのリストにも「一人として同じ子どもはおらず、言語に関しても同じタイムテーブルで発達するとは限らない」という趣旨のコメントがありました。焦らず、一つの参考程度にご覧いただけたらなと思います。

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この記事を書いた人

おうち英語、絵本、育児について、徒然なるままに。
2歳の息子と、おおらかな夫と暮らしている外資IT系WMです。都内在住。
子育てをしながら、自分自身も成長していけたらなと思っています。

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